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東京大学過去問1982年(5) 解答


[全訳]
 私はなかなか自分自身の人生に踏み出せなかった。それは私の落ち度ではない。もしも優しさというものがあったならば、私は成熟が遅れて苦しむことはなかっただろう。もしもあれほどの不安が私の内にしみ込んでこなかったら、もっと良くないことがこの先待っているだろうという考えから、孤独な望まれない子供時代を抜け出すことを恐れはしなかっただろうに。しかし、優しさはなかった。それに似た何かがあったとすれば、それは母が乗り回す大きな車の後部座席に座ることを許されたことだった。その車には、母に恋いこがれる男達が同乗していたのだったが。実際の所、これは優しさでもなんでもなかった。私はいちおう世間体を整えるために連れ回されていただけだった。前に座った二人は後ろを振り返ったり、私にほんの少しでも注意を払うことなど、決してなかった。そして私の方でも彼女らに注意を払いはしなかった。私は何時間も何時間も、そして何百マイルの間も座り続けた。広く高価な車の後部で終わりのない空想を作り上げながら。
 子供の時間の恐るべき緩慢さよ。決して語られることのない優しい言葉を獲得するためにもがき、劣等感に苛まれた終わりなき時間よ。(E)自分に責任があるに違いないと考えて、自分を責める苦しみよ。切望している愛情を無関心な他人に与えられるつらさよ。どうして未来がこれより悪くなることがあったろうか。どうして私はこんな子供時代を抜け出して、大人になるのを恐れていたのだろうか。
 後に、私がもっと公平に物事を見られるようになった時、私はいつもあの恐ろしく黒ずんだ孤独に再び陥るのではないかと不安を覚えた。状況を理解できない、独りぼっちの、真剣過敏な子供の孤独。それは思いつく限りで最悪の運命だ。
 母は私が女の子であるという事実を忌み嫌い、軽蔑した。私は彼女から、男が女より優れた血統で、自由で、幸運で、素晴らしく、強いものだという観念を植えつけられた。私のちっぽけな思春期の冒険と、臆病な経験がそれを裏書きした。ヒーローはいつも自動的に男性だったから。男達は女達より優しかった。そうするだけの余裕が男達にはあったのだ。そして男達はいつも凶暴で、予測不能で、危険な動物だった。だからいつも男に対して身を守っていなければならなかったのだ。


[単語・熟語 level A]


[単語・熟語 level B]


[解答]
(a) (ア)
(b) (1) fear
  (2) for
(c) (オ)
(d) (ウ)
(e) 自分に責任があるに違いないと考えて、
(f) (エ)
(g) (ア)
(h) (ア)
(i) (ウ)


[解説]
*解答をE-mailで送って頂ければ採点して返信します。E-mail:info@exclusive-academia.com

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