エクスクルーシブ・アカデミア〜東大英語過去問1985-5〜
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東京大学過去問1985年(5) 解答


[全訳]
 歴史的なアポロ11号が7月の17日に打ち上げられる前、多くの記者達が宇宙飛行士の3人全員と会談した。しかし機長のニール・アームストロングにインタビューした記者達は、会談を済ますと、当惑したような、時には困ったような様子だった。ニールが無礼だったとか、イライラしていたとかいうことではない。全くそういうことではない。報道機関に対応するのは、宇宙飛行士の仕事の一部だった。T38ジェット機に乗って反射神経を鍛えたり、万が一ボルネオの森に不時着した時のためにどの蛇が食べられるか学ぶことと同様であった。それは義務だった。そしてニール・アームストロングは義務を怠る人間ではなかった。
 だったら記者達をうんざりさせたものはなんだったのか。そこには、もうすぐ人類で初めて月の塵を巻き上げる、いやむしろ塵に埋もれることになる人がいたのだ。我々のヒーロー、我々の誇り、我々の冒険者、科学技術時代のパイオニア。そのかれが人類の全ての夢と恐怖を背負って宇宙に飛び出そうとしていたのである。
 「アームストロングさん、宇宙飛行士になったのは嬉しかったでしょう。」
 「私はもう既にNASAのテスト飛行士だったのです。私にとって宇宙飛行士に選ばれたのは転勤のようなものでした。」
 「あなたは冒険が嫌いと言うことですか。」
 「やめて下さいよ、私は危険をおかすのが嫌いなんです。危険を伴うのが我々の仕事の一番嫌な所なんです。どうして単なる技術的な事実が冒険といわれるものに変わったりするのでしょうか。」
 「しかし、打ち上げられなかったら残念でしょう。」
 「そうですね、でもイライラしたりはしないでしょう。一番に月に行きたがる人の気持ちは分からないんです。無意味ですよ。合理的な現代には価値のない、単なるロマンティシズムです。」
 「帰って来れないことを知っていても、飛び出そうという人もいますが。」
 「その人は子供なんでしょう。大人じゃない。私は帰って来れないだろうと思ったら、引き受けないでしょう。技術的に必要でない限りはね。ジェット機の試験は危険だが、技術的に必要なものです。でも、宇宙とか月で死ぬのは必要じゃない。だから、もしも私がどちらか選ばなきゃいけないんだったら、私はジェット機の試験中に死ぬことを選びますね。あなただってそうじゃないですか。」
 「いえ、私は月で死ぬことを選ぶでしょう。少なくとも月を見たことになりますし。」
 「無意味だ。もしも1、2年の間、月に滞在するんだったら、、多分、、いやいや、、そんな高い代償は払えないだろう。だって、無意味じゃないか。そろそろ行かないと。訓練用遠心装置に入らないといけないんです。」
 「お疲れさまです。」
 「ああ、嫌な訓練だよ。一番嫌いかもな。でも必要だからね。」
 こんな感じだった。多くの記者が彼が暗い人間だと思ったのは無理もない。さらに彼を大衆に売り込むことは不可能に思われた。その役柄を演じる気のない男をどうやって国民的ヒーローに出来るだろうか。


[単語・熟語 level A]


[単語・熟語 level B]


[解答]
(A) (エ)
(B) survive
(C) first
(D) (エ)
(E) if you were
(F) (オ)
(G) (ウ)
(H) necessary
(I) (ウ)
(J) folk hero


[解説]
*解答をE-mailで送って頂ければ採点して返信します。E-mail:info@exclusive-academia.com

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