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東京大学過去問1987年(5) 解答


[全訳]
 数年前、私の夫がある新聞社で初めて働くことになった時、私達はその編集長にディナーに誘われました。私が相応しい振る舞いをしなければ夫が解雇されてしまうなんて思わなかったけれど、さりとてボタンで前を留めるようなドレスで、シックなパーティーにいくわけにはいかないと思いました。手を打たねば、と分かっていました。
 私はロード&テイラーに入店し、勇敢にも「高級ドレス」のコーナーに足を運びました。それから私はしばらく隅に立って、店員の女性を観察しました。私が嫌なのは、エレガントな店員でした。過去の経験からして、本当にエレガントなヨーロッパ風のアクセントで話す本当にエレガントな店員を前にすると、私は財布や手袋を取り落としたり、咳の発作が出てしまう事が分かっていたのです。
 そして私はやっとのことで、内気で臆病そうな店員を選び出しました。私は彼女に近づき、彼女の肘をとらえて「議論はしたくないの」と言いました。「私は素敵なドレスが欲しいの。そしてこの午後、今すぐに買いたいの」私が一気にまくし立てても彼女は狼狽えていないようでした。彼女は「ふぅ、変人の担当はいつも私ね」とでも言いたげに、小さくため息をつきました。それから彼女は仕事に向かい、私に可愛らしいドレスを見繕ってくれました。生地全体にゴールドの糸が編み込まれた、黄色のシルクのドレスでした。こうして私は、珍しくしっかりとしたドレスを着ている(愛情のこもったお手製という風には見えないはず!)と確信していたので、落ち着いた気持ちでパーティーに向かいました。
 夫と私は1番にやってきた客でした。というのも招かれた時間ぴったりに到着するという、若者にありがちなミスをしてしまったのです。編集長と奥様は玄関で私達に挨拶し、とても丁重に迎えてくれました。しかし奥様の笑顔が少しこわばっているように感じたのです。リビングに入った時、私は全てを理解しました。リビングの三方の壁は、床から天井までシルクのカーテンで覆われていたのですが、そのカーテンは私の新しいドレスと全く同じ生地で作られていたのです。
 私はなぜこんな事が起きたのか把握しようとしました。なるほど、それほど酷いことではないでしょう。店の人は生地が余ったのでドレスにした、ただそれだけのことでしょう。でも、いったい全体、なぜ、私がそれを着ているのでしょうか。実際の所、私がカーテンの前に立った時、体のない首だけの人間に見えたとしても、私自身は大して困りませんでした。困ったのは他の招待客でした。彼らはその錯覚だと思われるものを、どう解釈してよいか途方に暮れました。結局、私は全精力を注いで、カーテンの掛かっていない(つまり安全な)一面だけの壁から離れないようにしなければなりませんでした。その場所では囲いのない暖炉からの熱が巻いておいた私の髪をすぐに台無しにしてしまいました。言うまでもなく、私達は再び招待されることはありませんでした。


[単語・熟語 level A]


[単語・熟語 level B]


[解答]
(A) 略(全訳参照)
(B) ウ
(C) エ
(D) ウ
(E) オ
(F) イ
(G) エ
(H) ウ
(I) イ
(J) 略(全訳参照)


[解説]
*解答をE-mailで送って頂ければ採点して返信します。E-mail:info@exclusive-academia.com

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