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東京大学過去問1991年(5) 解答


[全訳]
 ストーン夫人は崩れ落ちそうな石壁が交錯する平原を、グレイの車で走っていた。彼女の息子は隣に硬くなって座っていた。彼女も息子も不安でたまらなかった。彼女が何を言っても彼は神経質に「うん、でも…」と言うだけだった。
 「パパとママが3週間もしたら迎えに行くから。それ以上早くはダメだって、ジェニングズ先生が言うの。でもそれほど長くはないでしょう?ね?」
 「うん、でも…」と彼は言ったが、彼が言いたいのは「それってとてつもなく長い時間だよ」ということだった。
 ジェームズが茂みの裏で用を足すために、ストーン夫人は時々車を止めなければならなかった。「どうなっちゃうんだろう」暖かい車内に戻る時に、彼は突然絶望に駆られて言った。「もしも授業中にこうしたくなったら」
 「先生にお願いすれば、行かせてくれるはずよ」
 「でも行かせてくれなかったら?」
 「もちろん行かせてくれるわよ。先生達はとても優しいのよ」
 「先生達は優しくないってパパが言ってた」
 「パパが小さかった頃とは違うのよ」ストーン夫人は神に祈っていた。「上手くいきますように。ジェームズが泣きませんように」しかしジェームズは考えていた。「車が事故を起こして、死んじゃえたらいいのに。いや、死ぬのは嫌だ。酷い怪我をして、救急車で病院に運ばれて、大げさに騒ぎ立てられたらいいのに」この数日間というもの、荷造りが進み、服に名札が縫い付けられていく間、彼はわけのわからない恐ろしい場所に連れて行かれるくらいならば、死んでしまいたいと思っていた。実際、何度か自殺を考えた。しかしその度にいつも、彼の待ち望んでいる大災害が訪れるまで数日、あるいは数時間残されているのだと思い直した。地震が学校を飲み込み、ジェニングズ一家や教師全てが死んでしまうかもしれないのだ。
 「見て、空港があるわ」ストーン夫人はいった。ジェームズはそれを見ようとせず呟いた。「もう到着しかかってるって事だね」彼らが角を曲がる時、飛行機が低空で頭上を通り過ぎた。そして校庭の広がっている先には、灰色で重々しい校舎が目に入った。万事休すだった。13週は長すぎる。これまでは気付いてなかったけれど、今となっては天国に思える元の生活が再開するまで、長すぎて待てるはずがない。彼の母はこの学校は、学校というより個人の家庭のような感じだと言っていたけれど、それは嘘だったのだと、彼は今はっきり分かった。他の少年にとっては自分の家と同じようなものだったかもしれないが、ジェームズにとっては明らかに一種の施設だった。遠くから見ても、ホテルのような優雅さはなかったから。彼は母のツイードの袖を握りしめて言った。「車を止めて」


[単語・熟語 level A]


[単語・熟語 level B]


[解答]
(1) (d)
(2) (b)
(3) トイレ
(4) 略(全訳参照)
(5) (c)
(6) (d)
(7) (a)
(8) その時は本当の価値を理解していなかったけれど
(9)  (d)


[解説]
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