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■ 東京大学過去問1998年(5) 解答 |
[全訳]
愚鈍なピーターはある朝、仕事へと向かう途中、野原を歩いていて、道端に座っているお婆さんに出会いました。 「お婆さん、こんにちは。」彼は言いました。「なぜそんなに悲しそうにしているのですか?」 「指輪をなくしたんだよ。」お婆さんは言いました。「あんな指輪は世界に1つしかないんだ。」 「私が手伝いましょう。」愚鈍なピーターは言いました。そして四つん這いでお婆さんの指輪を探しました。 長い時間探して、ついに彼は葉っぱの下に指輪を見つけました。 「ありがとう。」とお婆さんは言って、指輪を指にはめました。そしてエプロンから鏡を取り出してピーターにあげました。「お礼にこれをやろう。」 「何のために僕は鏡を使うのですか?」ピーターは尋ねました。 「これは普通の鏡じゃないよ。」お婆さんは答えました。「これは魔法の鏡なんだ。この鏡を覗いても自分自身は見えない。他の人が自分を見ているように見えるんだよ。」 愚鈍なピーターは鏡を顔の前に持って覗き込みました。彼は片側を向き、次に逆側を向きました。ついに彼は頭を振って言いました。「これは魔法の鏡かもしれないけれど、僕には良くないよ。自分の事が全く見えないんだから。」 お婆さんは笑って言いました。「その鏡はお前に嘘をつかないんだ。他人がお前をどう見ているか、その真実の像を映すんだよ。」言い終わると、お婆さんは指輪に触って消えてしまいました。さて、愚鈍なピーターは非常に驚いて、長い間そこに立ち尽くしていました。 そしてもう一度鏡を覗いて、鼻がくっつく程近付いても、まだ自分自身の姿は映っていませんでした。 ちょうどその時、一人の農夫が馬に乗って通りました。「ちょっとすいません。」愚鈍なのピーターは言いました。 「僕の像を見ませんでしたか?鏡の中にいないんです。」 「ああそれなら、」農夫は言いました。「30分前に道を下って行ったよ。」 「ありがとう。捕まえたら見えるようになるだろう。」そう言ってピーターは道を走って行きました。 農夫は笑い、独り言を言いました。「愚鈍なピーターは(3)本当にまぬけだ。」そして彼は立ち去りました。 愚鈍なピーターは走り続けて鍛冶屋に出会いました。 「なぜそんなに急いで走っているんだい、ピーター?」鍛冶屋は呼びかけました。 「自分の像を捕まえようとしてるんです。農夫のジョンが、それが逃げ去ったと言ったんです。あなた、見ませんでしたか?」 鍛冶屋は親切な男で、頭を振って言いました。「農夫のジョンは作り話をしてるんだよ。お前の像はお前から逃げ去ったりしないんだ。鏡を見てみれば、そこにしっかり確認できるさ。」 それでピーターが魔法の鏡を覗いてみると、何が見えたでしょう。そこにはガチョウがいて、黄色いくちばしを持ち、黒い目は彼を見返していました。 「そこに像は見えたかい?」鍛冶屋は尋ねました。 「ガチョウしか見えないです。」ピーターは答えました。「でも僕はガチョウじゃない。僕の全てをあなたに見せたい。僕は僕の宝物を見つけ出す。そうすればあなたも本当の僕を見てくれるはずだ。」 そうしてピーターは彼の宝物を探しに出発しました。 ほどなく彼は木こりとその家族に出会いました。彼らは持ち物の全てを背負って、彼の方に道を下ってきました。 「どこに行くんですか?」ピーターは尋ねました。 「ここにはドラゴンが住んでいるから、国を出て行くんだ。」木こりは言いました。「人の50倍も大きくて、一口で人を食べてしまうんだ。王女をさらったドラゴンは、今夜の食事として食べてしまうつもりなんだ。だから、そっちの方角に行くなら、気を付けな。」そう言って彼らは急いで立ち去りました。 ピーターは先に進みました。すると突然恐ろしい音が聞こえました。彼が岩場を見渡すと、ドラゴンがいました。木こりが言っていたその通り、ドラゴンはピーターの50倍もあり、岩で歯を研いでいました。 「おお、お前はドラゴンか?」ピーターは尋ねました。ドラゴンは歯を研ぐのをやめて、恐ろしく凶暴な目でピーターを見ました。 「そうだ。」とドラゴンは言いました。 「それならお前を殺さなければならない。」とピーターは言いました。 「本気で言っているのか?」と炎を吐き出しながらドラゴンは言いました。「お前がどうやって俺を殺すんだ?」 するとピーターは言いました。「いや、僕がやるんじゃない。僕はこの岩の後ろにお前の50倍も大きい、最高に恐ろしい怪物を連れているんだ。そいつがお前を一口で食べてしまうんだ。」 「そんな事はあり得ない。」ドラゴンは吠えて、岩の後ろに跳びました。この時、本当はあだ名とは違いそれほど愚鈍ではないピーターは、そこに魔法の鏡を隠しておいたので、ドラゴンが岩を回り込んだ時、鏡と鉢合わせて、そこで初めて、ドラゴンは自分が他の者から見られているように、自分自身を見ました。50倍も大きくて、一口で食べられてしまいそうです。するとすぐにドラゴンは尻尾を向けて、山の向こうへ一目散に逃げて行き、二度と姿を現すことはありませんでした。 それからピーターはドラゴンの洞窟に入っていき、王女を見つけて王宮へ連れ帰りました。 すると王は彼に宝石と素晴らしい衣装を与え、人々は彼をほめ称えました。そしてこの時ピーターが魔法の鏡を覗いてみると、何が映っていたでしょうか?彼は勇敢で獰猛なライオンを見ました。それは人々が彼を見る目でした。しかし彼は自分に言いました。「僕はライオンじゃない。ピーターだ。」 ちょうどその時王女がやって来たので、ピーターは彼女に鏡を見せて、何が映っているか尋ねました。 「世界一美しい女の子が見えるわ。でも私は世界一美しい女の子じゃない。」と王女は答えました。 「だけど、僕にはそう見える。」とピーターは言いました。そして彼は王女にどうやって鏡を手に入れたのか、どうやってドラゴンをあざむいたのかを話しました。 「だから分かるでしょう?僕はガチョウのようなマヌケでもないし、ライオンのように勇敢でもないんです。僕はただの愚鈍なピーターなんです。」 彼の話を聞いて、王女は彼の正直さに惹かれ、ピーターの事が好きになり始めました。ほんの少しの間に彼女は彼を愛するようになり、王はピーターがただの貧しい農夫の子であるにもかかわらず、2人の結婚を認めました。 「でもあなた。」と女王は言いました。「彼は本当の王子じゃないから、人々に私達は笑われますわ。」 「くだらない。」と王は答えました。「我々が彼を、これまで見た中で最高の王子に仕立てあげるさ。」しかし、年寄りの女王は正しかったのです。 結婚式の日、ピーターは金と毛皮で飾り付けられた、最高の衣装を着せられました。しかし彼が魔法の鏡を覗いた時、何が映っていたでしょうか?お金持ちで立派な王子ではなく、彼にはいつものみすぼらしい身なりの自分が見えました。彼は笑って独り言を言いました。「ついに!みんなが僕を人として見てくれるようになった。」 |
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[解答]
(1) エ (2) エ (3) エ (4) エ (5) エ (6) ア (7) simple (8) 2、 the magic mirror (9) which was how everyone else saw him (10) ウ (11) エ (12) イ (13) really am (14) a: the Queen b: the farmer c: the woodcutter |
[解説] |
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