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■ 東京大学過去問1984年(5) 解答 |
[全訳]
物語が心から語られる時、それは真のコミュニケーションであり、自然で率直なものなのだ。それは生きた言語だ。その中で言葉は、精神と本質的に結びついて、言葉以上のものとなる。物語る人は物語の内容と自分のことだけでなく、言葉の力を伝えて聞き手をインスパイアする。そして今度は聞き手が心から語りたくなる。こうして、もっとも古い儀式--人のコミュニケーション--は護られる。そうやって我々は世界を共有できるのである。 私が真に誰かに物語を語ったのは13年前のことだ。それは全く偶然だった。ニューヨークのセントラルパークの寒い4月の午後だった。ハンス・クリスチャン・アンデルセン像の前で、私は大人から子供までたくさんの群衆に向かって、若者の演劇・詩歌集団を指揮していた。休憩時間になると、私の教え子達は観客が去ってしまわないように、私に何かするように頼んだ。私は立ち上がり、トロントの白髪の図書館員から聞いた物語を語った。その図書館員の名は忘れてしまった。 私は緊張して話し始めた。話を全部思い出せるか自信がなかったからだ。しかし唐突に、物語がひとりでに進行していった。どうやったのか、観客に直接話しかけることによって、(F)私は物語に命を吹き込んだのだ。私は彼らの目の中の物語を読んでいるようだった。私たちはお互いに語りに注意を向け合って、物語は私の記憶を飛び出して、鮮やかなディテールへと入り込んでいった。観客の存在によって、私たちがいる空間は物語のための見えない舞台となっていた。そして私たちは皆、冷たい4月の陽射しと同じくらいにまばゆい映像を、思い描いていたのだった。イメージとキャラクターが現れて、ストーリーは力強く流れ、我々を結末へと導いていった。物語が終わった時、観客と私は皆静止して私たちの心と想像力がこれほど強く捕らえられていたことに驚いた。あの日私はストーリーテラーになることを決めたのだった。 |
[単語・熟語 level A] |
[単語・熟語 level B] |
[解答]
(a) (ウ) (b) (ウ) (c) the audience wouldn't go away. (d) whose (e) (ウ) (f) 私は物語に命を吹き込んだのだ (g) storyteller (h) (イ) |
[解説] |
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